静夜思
2015/10/11

朝晩が寒くなって、すっかり秋が感じられる季節になりました。
「静夜思」。
本日のコンサートのタイトルである、この3文字。実は、中国唐の時代の詩人、李白による有名な漢詩の題名です。夜、月を見上げながら故郷を想い物思いにふける‥‥
秋は、どこか切なさや哀愁が漂う季節でもありますよね。今日はそんな秋をテーマにした音楽をお届けです。

まずは、二胡のソロで「草原の夜」「懐郷行」の2曲。
「草原」。中国の広い広い荒土を、音が澄み渡っていく絶景が浮かんできます。
「只留下我的琴声(ただただ私の琴の音だけが響きわたる)」、このコンサートの副タイトルの情感が100%表されていた2曲でした!ちなみに、この「只留下我的琴声」は七言律詩、対して冒頭の「静夜思」は五言絶句‥‥‥文学好きな私はついでに漢詩について語りたくてたまらないのですが、この場の私の使命は音楽をレポートすることなので‥自粛して次に進みます(笑)。((+_+))

次は、二胡withギター弾き語り。
「fly me to the moon」「moonlight serenade」など月にちなんだ曲や、ギタリストのオイワさんのオリジナル曲「オニヤンマ」「love songが生まれるように」「落書きピエロ」などを披露してくれました。
先程まで中国一色だった雰囲気が、前半の2曲で一気にジャズの楽しいムードへ変わりました。同じ楽器でもこれ程幅広い世界を表せるなんて驚きですね。
オイワさんの曲と歌声は本当に優しくて、思わず幼い頃の思い出がフラッシュバックされてしんみりくるような、素敵な世界観でした。オリジナル曲は、オイワさん自身にとっても、それを作詞した当時のことを振り返られる日記のような存在だそうです。

さて、後半はバイオリンのソロで「トロイメライ」「リベルタンゴ」「ヴォカリーズ」などクラシックが、続いてバイオリン、二胡、ピアノで「オリビアを聞きながら」「青春の輝き」「また君に恋してる」などポップスが演奏されました。
ラフマニノフの「ヴォカリーズ」。これは今日のコンサートで一番外せない、オススメの一曲です! 元々は歌曲であるせいか、更に言うとその唱法(歌詞を伴わず母音のみで歌う)のせいか、ため息のような旋律が特徴的で、そしてラフマニノフらしい、どこか民族的な郷愁を感じさせる世界は、本当に引き込まれます。色々なバージョンで編曲されている曲ですが、バイオリンの音色で聴くと、うっとりします。

最後の締めくくりは全員(二胡、ピアノ、バイオリン、ギター)で、「賽馬」。
馬が速足で駆けるところを表した、とても勢いのある曲です。個人的には二胡で何度も聞いたことのある曲だったのですが、ギターが入った、こんなにロックテイストな「賽馬」は初めてでした!ラフマニノフで感傷に浸っていた心が一瞬で現実に引き戻されました(笑)。

さて、今日の会場、「ライブレストラン音や」さんは、桂川の川沿いで嵐山の山々や渡月橋を見渡せる絶景のロケーションです。まさに、「秋」をテーマにした今日のコンサートにぴったりでした。
秋の夜長でちょっとしんみりしたいと思ったら‥‥是非来年の秋、皆さんお越しくださいね☆
(レポートby ちあき)

出演:
二胡 たなかかおる
ヴァイオリン 藤本信行
ピアノ 工藤宗子
ギター&ヴォーカル オイワ

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