アフタヌーンティーコンサート 2015/09/12

前回のパレスサイドホテル・シリーズコンサートは、「ジャズと昭和歌謡」というテーマでしたが、今回は純クラシックのナンバーでお届けです。

*恒例の豆知識コーナー*
まずは、弦楽四重奏というジャンル、使われている楽器について解説があり、1stバイオリン、2ndバイオリン、ヴィオラ、チェロが、それぞれ単独で一フレーズを弾いてくれました。
普段、アンサンブルとしての演奏を聴く観客の私たちにとっては、メロディを奏でる1stバイオリンにばかり目がいってしまいがちですが、他の楽器がどのような旋律を弾いているのか、単独で聞くと面白いですよね。そしてそれらが合わさっていることを意識しながら実際の演奏を聴くと、より曲が楽しめますし、少し自分の耳が賢くなった気がします。(多分、気のせい…(^-^;。)

さて、今日の目玉はオーボエです。
オーケストラのチューニングで初めにAの音を出してくれる楽器ですが、楽器の特徴の一つであるリードについて語ってくれました。
オーボエ奏者にとってリード作りは何とも重要な作業であり、一日に5時間練習するとすれば、そのうち4時間はリード作りに費やすというくらいに時間をかけるそうです!気温、湿度にも敏感なので、本番に向けて少しずつ少しずつ、微調整を加えながら作っていくのだとか。あの安定した綺麗な音は、こんなに気の遠くなるほどの手間と時間と愛情から作られていたのですね。
しかも1回の本番で1つのリードの寿命は終わりだそうで、今回のリードの音も今日で聴き納めとか。びっくりしましたが、そう聞くとなおさら一つ一つの音に込められた演奏者の思いに耳を傾けたくなりました。(*^^*)
ちなみに、オーボエ奏者の山根さん、こうしてMCで喋っている間もリードが乾いてしまわないかヒヤヒヤだったそうです。…たくさん解説していただき、ありがとうございました!

*チマローザ オーボエ協奏曲ハ短調*
そんな山根さんが、「4つの楽章の変化が分かりやすく、楽しめるはず。」と選んでくださったのが、この協奏曲。寂しげで哀愁ある音がオーボエにぴったりで、本当にうっとりする曲でした。
チマローザは、多くのオペラやチェンバロ・ソナタを残したイタリアの作曲家で、ゲーテやスタンダールなど同世代の文豪たちが彼の音楽に熱烈な讃美を送ったと言われています。決して複雑でなく、余計な説明描写も解釈も必要なく、ストレートに「美しさ」を持っているような、チマローザの音楽は、もっと日本で知られてもいいのになぁと思いました。

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他の演目は、モーツァルト尽くし。一口に四重奏といえども、そして同じ作曲家といえども、楽器の関連性、働き、作風が違ってくるのは面白いですね!
冒頭の、インパクトあるユニゾンで始まるアイネ・クライネ・ナハトムジークは、有名なだけあって皆とても楽しそうに聴いていました。
今日は全面クラシックでしたが、アンコールは少し気分を変えて、スタジオジブリから「もののけ姫」。
オーボエとバイオリンの音色が痛いほど鋭く刺さり、圧巻です。
演奏後何人かのお客さんにインタビューしてみると、「普段オーボエはオーケストラでしか見ないから、こんなに間近でたくさん聞けて良かった」という声が大半でした。やはりオーボエを堪能できた場になったようです。♪..ちなみに、これを書いている私は、オーボエとクラリネットの違いも分からなかった初心者なので、楽器の勉強になった日でした。(^^)
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モーツァルト時代の弦楽四重奏は、コンサートホールの座席に座って音楽だけを聴く、という現代のようなスタイルではなく、宮廷で行われるパーティーのBGMとしての演奏に使われることが多かったようです。そういう場面を想像していると、聴いているうちに、自分も華やかな貴族のような気分に...なった人も多いはず!
一時でも、どこか違う世界に連れて行ってくれるところが音楽の魅力ですよね。
では、次回のパレスサイドホテル・シリーズコンサートは、どんな世界でしょうか? お楽しみに!
(レポートby ちあき)

出演:
オーボエ 山根久美子
ヴァイオリン 山根拓
ヴァイオリン 内田佳子
ヴィオラ 藤本信行
チェロ 齊藤まどか

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