アフタヌーンティーコンサート 2016/3/6

今月のザ・パレスサイドホテル・シリーズコンサートは、題して「金管五重奏の魅力」。
トランペット・ホルン・トロンボーン・チューバで構成される「CloudLand Brass Ensemble」の皆さんが金管五重奏の音楽を届けてくれました!

金管楽器って、どんな楽器でしょうか。普段、オーケストラの舞台で前列に多数占めているのは弦楽器ですし、少人数の室内楽でも弦楽器や木管楽器の方が目にする機会が多く、この楽器群については、意外と知らない、という方が多いのではないでしょうか。楽器の歴史をとってみても、割と新しい時代に出来たイメージが強いかもしれません。しかし実際、ホルンやトロンボーンが生まれたのは15-6世紀、バイオリンよりももっと昔の時代なのでした。

第1部は、そんな古典時代の曲からスタート。「ルネッサンス舞曲」「Spero」などを演奏してくれました。
舞曲が流行っていた、華やかなヨーロッパの宮廷社会を思い起こさせる、美しく洗練された世界で、金管楽器というとすぐにジャズやアメリカを連想してしまう先入観を打ち破ってくれる曲でした。
軽やかな3拍子でトランペットの掛け合いが特徴的な「ガイヤルドの戦い」では、ピッコロ トランペットの紹介をしてくれました。バロック時代の楽器で、現代のトランペットよりサイズが少し小さく、1オクターブ高い音域が出るそうです。

続いてのフォーカスは、トロンボーン。
イタリア語をかじったことのある人なら馴染みある文法事項ですが、語尾に~one(~オーネ)が付くと、「大きいもの」を指します。よってトロンボーンは、tromba+one=大きなラッパ、というのが語源になるそうです。騎士が剣を抜く動作にも似ていると言われている、グリッサンド奏法は、この楽器ならではで、動作も音もカッコいいですよね!アメリカのサーカスバンドで演奏されていたことで有名な「Lassus Trombone」は、明るく、そんなトロンボーンの魅力がたくさん詰まった曲でした。

第1部を締めくくるのは、バッハのメヌエット ト長調。
クラシックの代表格とも言える作曲家と、誰しもが知る有名な曲ですが、ジャズ風のアレンジで披露してくれました。金管楽器のアレンジ幅は、本当に広いですね!現代風バッハの‥‥と書こうとしましたが、この曲、実はバッハ作ではないことが最近の調査で明らかになったそうです(笑)。

さて、第2部での楽器紹介は、ホルンとチューバ。
まずホルンですが、”horne”という単語が「角」を意味するように、その起源は文字通り、狩猟時に獲物を見つけた合図に使われていたことに由来します。ぐるぐると円状になっているチューブですが、なんと全長4.5mもあるそうです!プラスチックのチューブで実演してくれました。実際に伸ばしてみると、4.5mって長いですね。(上の3番目の写真を見てください!)
このコーナーで演奏してくれたのは、「Simple Gifts」。アーロン・コープランドが作曲した「アパラチアの春」というバレエ曲の中で使われている曲ですが、元はキリスト教の一派であったシェーカー教徒の讃美歌でした。讃美歌らしい厳かな雰囲気と、シェーカー教から連想される雄大な自然が、ホルンの柔らかい音色に体現されてとても綺麗でした。

楽器紹介最後の目玉を飾るのは、チューバです。
そのサイズの大きさから一番目を引く楽器ですが、長さは6~10m、重さは何と10kgもあるそうです!
ずっしりとした低音は、「影の支配者」。五重奏全体のテンポをコントロールできます。この低音があるからこそ、トランペットなどの高音部がキラキラ輝く訳ですが、実は、伴奏だけが仕事ではありません。ソロで実演してくれましたが(しかも、息が切れきれになるにも関わらず会場内を歩きながら弾いてくれました‥‥何ていう肺活量!ありがとうございました!!( ゚Д゚))単体としてのチューバの音は、低い深みがあるだけではなく、とてもメロディックでした。

最後は、ディズニーやジブリ、ドラえもん、「川の流れのように」「卒業写真」などのポップス等を金管アレンジで届けてくれました。観客の中にはお子さん達もいたので、馴染みある曲の数々に心底楽しそうでした。

金管五重奏は、単純に音量としての迫力だけではなく、ツンとした鋭い音の中にも柔らかさが、軽快さの中にも深さが、そしてそれらが重なりあった分厚いハーモニーに、魅力がたくさんありました。狩りをしていた時に使われたという楽器の起源を先程書きましたが、思えばそれは、人間が自然の中にいたときの、最も原始的な行為ですよね。最も自然で、肩肘を張らない、開放感。金管楽器の音色が、ストレートに空気を伝わり私たちの心に響くのは、このせいでしょうか。

もうすぐ春です。全てをリセットしてくれる、青空のような金管楽器の音楽に、自然と弾むような足取りになった人も多いはず。
今日は演奏のみならず、楽器紹介ということでMCの時間が長く、音楽史や楽器の知識としての勉強になったほか、実演でとにかく終始笑いが絶えない会場でした。!(^^)!

さて、毎回雰囲気が様変わりするザ・パレスサイドホテル シリーズコンサート。次回はどんな世界が待っているでしょうか?どうぞお楽しみに!

出演
CloudLand Brass Ensemble
トランペット 古川和範 比嘉麻理亜 
ホルン 竹原友博
トロンボーン 盛岡尚之
チューバ 橋本美香

(レポート byちあき)

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